FEMINGWAY 〜有限要素法解析など構造設計にまつわる数理エッセイ〜

第6話 古都のミニ風景3

日本は八百万神の国ですから、神社の数が多いですね。京都に住まいを持つと、お寺の数もさることながら、神社が多いことも実感できます。神社は、神官職の資格さえ取れば誰でも神社を建てることができると聞いたことがありますが、そのせいか、変わった名称の神社も見受けられますね。

姉妹エッセイ“理系夜話”第40話で出てきた“飛行神社”もそうですが、筆者の住まい近くでも、“出世稲荷神社”とか、“御金(みかね)神社”といった神社があります。こうなると、あまりに俗物的な神社名なので、われわれが、伊勢神宮や出雲大社の社殿を前にしていだく敬虔な気持ち、神秘な気持ちは消え失せて、露骨な願望だけ、と感ずるのは筆者一人でしょうか。

それはさておき、ここでは、またもや一風変わった名の神社の紹介です。鴨川にかかる有名な三条大橋の通りが旧東海道の三条通りですが、この三条大橋から東へ1kmほど行った所に-地下鉄東西線・東山駅からは300mほど東-“合槌(あいづち)稲荷”という神社があります。ほんとうに小さな小さな神社です。筆者は、この神社の前を幾度となく車で通っていたのですが、小さいため、最近このあたりを散策するまで、ついぞ気付かなかったのです。京都へ来られる読者のみなさん、やはり京都は徒歩での散策が一番ですよ。

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さて、“あいづち”という名称のことです。相手の話に調子を合わせることを、“あいづちを打つ”と言いますが、実はあいづち稲荷神社の“あいづち”はこれを意味しているとのことです。“あいづちを打つ”とは、もともと刀の鍛冶現場での用語のようです。刀の鍛冶といえば、われわれは、師と弟子というような二人がリズミカルに交互に槌でトンテンカンと焼刃を打つ姿が目に浮かびますが、それが“あいづちを打つ”の語源といいます。ついでに言いますと、二人の呼吸が合わずに、リズムがくるってしまうことから出た言葉が、トンチンカンだそうです。

それでは、あいづち稲荷神社と“あいづちを打つ”の関係はといいますと、昨春(2009年)、“地団駄は島根で踏め(わぐりたかし著、光文社新書)”という、語源発生場所に旅した興味深い本が出ましたが、この中で紹介されています。

平安時代に名刀工として知られた伝説的人物に、三条宗近という人がいたそうです。宗近と“あいづち”の詳しい経緯はこの本を読んでもらうとして、ともかく、宗近の住まいがあいづち稲荷神社の近くにあったそうです。この近辺には、宗近や刀鍛冶があったことを示すような名残りがいくつかあるようです。

2010年7月記

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